賃金とは,労働の対償として使用者が労働者に支払う全てのものをいいます(労働基準法11条)。
残業代は,所定時間外に労働したことの対価ですので,労働基準法上の賃金にあたります。
ところで,生活の糧である賃金がきちんと支払われるよう,
賃金は,
- ①通貨で
- ②労働者に対して直接
- ③全額を
- ④毎月1回以上一定の期日に
支払うよう決められています(労働基準法24条)。
また,給与の支払いが遅延した場合は遅延損害金がつけられますし,解雇予告手当や時間外割増賃金等の支払い義務に違反した場合には,裁判所が未払額と同一額の付加金の支払いを命じることもあります(労働基準法114条)。
給与も残業代も「賃金」ですので,これら賃金に関する原則が適用されます。
会社(使用者)が残業代の全額を支払わないことは,これらの原則に違反する違法な行為なのです。