会社(使用者)が行う解雇には,(1)懲戒解雇 (2)整理解雇 (3)普通解雇があります。
(1)懲戒解雇
懲戒解雇は,会社(使用者)が労働者の非違行為を理由に,就業規則に基づき懲戒目的で行う解雇です。
懲戒解雇を行うためには,
- ①予め就業規則で解雇を含む懲戒の種別と懲戒事由を定めて,その内容を労働者に周知させる手続きが取られていること
- ②労働者に理由の告知と弁明の機会をあたえていること
- ③懲戒事由の程度・内容が懲戒解雇とされてもやむを得ないほど重大であること
が必要です。
したがって,そもそも就業規則に懲戒事由等が定められていない場合や,軽微なミスで業務への影響も大きくないような場合,原則的に懲戒解雇をすることはできません。
(2)整理解雇
整理解雇は,部門閉鎖や経営不振による合理化等のために行う解雇です。
整理解雇を行うためには,主に
- ①整理解雇を行う必要性
- ②整理解雇の回避努力義務
- ③基準・選定の合理性
- ④労使交渉等の手続きの合理性
の4つの要素から判断されます。
従って,会社の業績が悪化したとしても,経費削減,役員報酬の削減などの経営努力をしていない場合や,労働者や労働組合との協議を行っていない場合,無効な整理解雇とされる可能性が高いといえます。
(3)普通解雇
懲戒解雇および整理解雇以外の解雇で,労働者の能力や適格性の問題から適切な就労ができないなどの場合に行われます。
普通解雇を行うためには,
- ①就業規則(又は労働協約)に記載された解雇の事由に該当すること
- ②客観的に合理的な解雇理由があること
- ③解雇が社会通念上相当であること
が必要です。
例えば,就業規則に解雇事由として「労働能率が劣り向上の見込みがないと認めたとき」と記載されていても,単に平均的な水準に達していないというだけでは解雇できず,著しく労働能力が劣り,しかも向上の見込みがないときでないと解雇できません。